洋服の仕立ては五分五分か |
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2019年 11月 10日
TENORS HEAD-ON BILL PERKINS RICHIE KAMUCA アメリカ人はとにかく勝った負けたが好きである。あの国のスーパーヒーローは日夜戦っている。なんの為に戦う。うん、物事をはっきりさせる為に。どちらの意見が正しいか。どちらのその条件をのむか。 例えば、ボクシングや大学対抗のフットボールならそりやわかるが。音楽とか映画などの芸術分野で勝った負けたやや順位づけは必要か。 そして、ジャズにおいては。テナー・バトル。 リッチー・カミューカとビル・パーキンスはともにスタン・ケントン楽団に在籍したレスター・ヤング派のテナー・サックス・プレイヤーである。 カミューカがケントン楽団に在籍したのが51~52年。一方のパーキンスは57年~59年。年はパーキンスの方は6歳上。生まれ月がカミューカが7月23日、パーキンスが7月22日。星座は同じ。違うのだった。この一日が。22日が蟹座。23日が獅子座である。ある意味、運命の境目がここにある。 でだ、一曲目。「COTTON TAIL」テナー・バトルの代名詞、それやれ、それやれ、もっとやれである。 だが、そうならなかった。 一人がテナーのフレーズを奏でる。すると、もう一人のテナーが、そのフレーズに同調するかのように同じ感覚のフレーズを連ねる。すると、また一人のテナーが同じことをする。その繰り返し。 二曲目の「I WANT LITTLE GIAL」これもまた一人のテナーがバラードを吹き始めると、すぐさま、その感覚に同化するようにもう一人がその音に自身の音を被せる。 どちらが、どちらだか判らない。判らなくなる。これはもう一本のテナー・サックスである。それを、やはり、ピート・ジョリー、レッド・ミッチェル、スタン・リービィーのリズム・セクションがその世界を煽るわけもなくただ邪魔をせず支える。 だが、ジャズ・ファンは知っている。低め、ややサブ・トーンなのかビル・パーキンス。音が明朗なのがリッチー・カミューカであることを。でも、聴いているとそんなことはどうでもよくなる。 よく考えると、どうも、この二人のこの感覚はそれぞれらしくないとも言える。あくまでもイメージだが、リッチー・カミューカの音というのはどこか若さ、青春の光と影があって、対し、ビル・パーキンスの音は渋い老成した感覚がある。だから、このレコードでもそういう風に吹いて欲しいと思う。だが、このレコードの二人はそれとはまた違う音を出しているような気がしてならない。このレコードの為だけに。 ともに、スタン・ケントン楽団の花形、時期は違うが同じ釜の飯を食った間柄、そして、レスター・ヤングを崇拝する同派。同じ、フレーズ、質感がそこに流れてしまうのは当たり前か。 ジャケットの洋服の仕立て五分五分か。だって、同じ洋服屋の仕立てだもの。 馴れ合いか。米のジャズファンはこれをどうとっただろう。当時、どう評価したのだろう。そして、そもそも、本国アメリカでもこうしたジャズは遠い過去のものなのか。だが、この感覚は新しかったのではないか。オレがオレがではないジャズ。流れるような当時のスムーズ・ジャズ。 だがどうあれ、これはジャズの評論家、マニア泣かせの作品でもある。このレコードの感想を求められた評論家は、例えば、こんなコメントはできない。さすが、ビル・パーキンスですね。渋い大人の感覚で、年若のカミューカと差をつけています。などと。 日本ではジャズ喫茶だ。今でも、現在でも、このレコードがターンテーブルに乗ろうものなら、どっちが、どっちの論議が交わされるだろう。 だが、さすが、ジャズ喫茶のマスターは即答する。先のソロがカミューカですね。後の方がビル・パーキンスです。 オオッ。流石マスター。 でも、マスターずるい。このレコードの裏ライナーには二人のソロ・オーダーがきちんと記入されている。カンニングマスター。 個人的には深まりゆく秋に相応しいレコード。 銀座通り商店街の昭和初期からのオーダー紳士服店。そのウインドウ越しの古いラジオから流れてきてほしい音楽。
by senriyan
| 2019-11-10 17:55
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