別ジャケに見る日伊文化論 |
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2019年 05月 19日
”THE BLUSE” PACIFIC JAZZ RECORDS ウイリアム・クラックストンのフォト・イメージから陽光を感じるパシフック・ジャズは昼下がりのイメージがある。 昼下がりのジャズ。 だが、今日、昼下がりという言葉は最近あまり聞かれなくなった。 あのゆったりと退屈な時間が流れていくあの感覚はスピードと結果を求められる現代において、遠い過去のものになりつつある。かっての平日の昼間、人気のない商店街、ポカンとして空洞ともとれる呆けた時間帯。 白日夢。そんな言葉とともに。 昼下がりの情事、未亡人。今思ったが、この昼下がりという言葉はこの二つの為に作られた言葉ではないか。 もはや、東京は初夏である。 このジャケットはああ素晴らしい。チェットの二番目の奥さんか。なぜか、チェットは写らず、ペットに絡みつく手指がその存在を伝える。 しかし、チェットが写らないというのが洒落ている。 中尾彬が写らずに志乃さんのみという構図はやはりあり得ない。 このレコードには伊盤が存在する。内容はまったく同じ、音質も悪くない。それを自国イタリア娘に置き換える。ヘア・スタイルはショート。新しい時代の匂いが少しだけする。私はこの彼女のボーイ・フレンドは労働者階級の若者と想像してみた。 イタリアといえば、シェスタである。 日本では考えられないが、お昼休みは自宅に帰って昼食をとり、昼の二時頃まで、お昼寝してしまうという。その習慣。シェスタ。 日本でも、なんでもお昼寝は仕事の効率を上げる作用があるてんで、15分くらいの仮眠を推奨している企業も出てきてると聞く。 ようやく、この2020年がやってこようとするこの時代になって、ようやく、それに気づいたと。 だが、イタリアでは紀元前ローマ時代からそれやっていると。 でだ。多分、このレコード・ジャケットのイタリア人デザイナーは、このパシフィック・ジャズのイメージから、やはり、私と同じように、昼下がりをイメージしたのではないかなと。 彼女の煉瓦積みをやっているボーイフレンドはローマのアパートに帰宅する。ボロネーゼの昼食、ローマ・テレビは地方の穏やかニュースを流す。雌鶏が同時に12コ卵を産んだ。グラスに注がれるトスカーナのワイン。食事の最後に手の甲で口をグッと拭うと、ベッドへ、お昼寝の時間。開け放られたバルコニー窓からはそよ風とともに近くの教会の鐘の音がカランコロン、カランコロン・・・。ジャケットの彼女を腕まくらして、夢の中へと・・・、だが、彼女のお喋りは続く、ねえ、もう寝ちゃったの、ダメね・・・。その声に反応して、瞼が、閉じたり開いたり。 その間、勤勉な我が同胞は、煉瓦をこつこつと10コ積む。 だが、徐々にそのペースは落ちていく。 休養タップリのイタリア人は、夕方近くになって、結局、50コの煉瓦を積む。 我々、日本人は昼に寝すぎた後の気だるさと倦怠感を知っている。あの非生産的な時間。ここはどこ、私は誰。束の間の浦島太郎状態。 だがだ、このレコードを聴いて思うこと。 それは、やはり、ここにはその昼寝の後の倦怠と退廃があるのだ。ということに気づく。 ジアン二・バッソとオスカル・ヴァルダンブリーニもレコーディングの合間、シェスタにこのレコードを聴いたに違いない。 昼下がりのジャズ。そう、昼下がりという言葉はこのパシフック・ジャズにこそふさわしい。
by senriyan
| 2019-05-19 21:09
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