サム・テイラーを再考する |
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2018年 12月 02日
先日、レコード屋で、あるレコードがかかっていて、おっと反応してしまった。 なんか、日本的な旋律、叙情、和ジャズか? 小原庄助とレイニー・スリーのわけないか。 ”これですか、サム・テイラーなんですよ。結構、いいですよね”と店員さん。 サム・テイラー、なるほど、ああ、曲は”五木の子守歌”ね”。なるほど。 ジャケットを手渡されたら、またしても、オッと、カックイイじゃない、これ。 良く見ると、画像には着物姿の女性とともに日本語らしき立て看板、そこには、金龍地獄、金龍園とおぼしき文字が。 いや、暇人なんで、ネットで調べましたよ。そしたら、どうやら、多分、別府にある温泉場らしいですね。これ。しかし、現在、外国人観光客に愛される我がニッポン。なんか、外国の方の方が、日本の穴場知っている。とはいえ、1960年の米のレコード・ジャケットに別府の金龍園てか。エキゾ、モンド感、大爆発。なんだけどね。 まあ、そもそも、サム・テイラーって、ジャズか、という話しもある。今回、だせえぜ、senriyan、ついに、ネタ切れか。うん、私もそう思ってました。でも、なんか、先入観なしに、このシュチエーションで聴くと、いいのよ、これが。 そんで、なんで、サム・テイラーさんがだね、日本のこうした民謡、演歌なんかをプレイすることになったのかという疑問がむくむくと湧いてくるわけです。 いきなり、その辺のオジサンがね、突然、ブルガリア民謡にはまりだしたりするより、もっと、突然変異的な気がするのは私だけ。アパートの隣の住人が、ユニオシサンとか、そういうことじゃないかぎり、ありえないような。 だが、恐らく、その最初は、このレコードの”五木の子守歌”だったに違いないと、私はそう考える。 何か、偶然的サム・テイラーはこの曲を耳にしたのだ。 この”五木の子守歌”という曲は、日本人でも忘れている人が多いと思うが、熊本の五木といわれるかっての村落、赤子をあやす、寝かす意味での子守歌ではないのだ。身分のいちばん低い農奴と言われる階級の人たち、そうした娘たちが十歳になる頃から、低い賃金で身を売られるように、よか衆といわれる階級の家に子守りの奉公に出されるその哀しみを歌ったものだと言われているらしい。近代日本その暗部の歴史。 もちろん、サム・テイラーさんが、そんな事実を知っていたとは思えない。”聞いてビックリ、子守歌の真相”なる新書をジュンク堂書店で買って勉強していたとは、実に考えづらい。 恐らくだ・・・。。 サム・テイラーさんは、この曲、そこに、深淵なるブルースを感じたのである。そこに、アフロ・アメリカンの苦悩の歴史、それに似た、痛み、情念を感じたのではないかと思う。 そう、それを、この曲から、間違いなく嗅ぎとったのである。ではないかと。それは、つまりは、感覚の鋭いジャズ・マンと同じ感覚である。 もはや、それは、ダサいとは言っていられない。 そして、私がこのレコードに魅了される理由が分かった。 かっての幼き頃の家族旅行、蘆ノ湖畔、野外レストラン、パラソルの下で飲む、リボン・シトロン、もしくは、バヤリース。スピーカーからはパーシー・フェイス楽団の”夏の日の恋”、そして、夕暮れて、むせび泣く、サム・テイラーのサックス、ハーレム・ノクターン・・・。 私は、その時に、間違いなく、このレコード、本盤を聴いていたのだ。 つまりは、その時、レコード屋で、その音と半世紀ぶりに再会したというわけである。もはや、この音はDNAにすりこまれている。
by senriyan
| 2018-12-02 17:55
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