こんなレコードを買ってみた、買っていた ー1ー |

みなさんこんにちは、全日本100円レコード愛好会、会長を務めさせていただいております。百縁良吉(ひゃくえんよしきち)と申します。今日はみなさんにこの場をお借りしまして、100円レコードの需要と経済効果、歴史的背景、その傾向と対策といった流れでレクチャーさせていただこうと思っています。しかしながら、みなさんこの現代社会を生きておられる忙しい身。いっそ短く、わたくしが申すのも誠におこがましいかぎりではございますが、100円レコード買いの心構え、魅力。そんなお話しをさせていただこうと思っております。(早くそう言え)
まず、世の中にはウン万円するレコードがあり、かたや100円で買えるレコードがある。世の中というものはそんなことでバランスがとれている。いや、実にありがたいことです。
私の知り合いでレコード狂の友人がおりますが、その彼が失業中にです。無収入の身でありますが、夢遊病者のように自分でも気が付かぬうちに、ふと気が付けばレコード屋にいてエサ箱をつついている。当然買えない。お金がない。ふ~という溜息とともに上を見上げれば壁に飾られた高額盤が、そのプライスに思わずくらくらと立ち眩みが、そして、しゃがみ込んだところに100円レコードのダンボールがあったと。
彼はお昼代を100円削って100円のレコードを買うことで再び生きる希望を見出したという実話がございます。で、政府はそんな100円レコードの境界にまで増税を迫っておるのです。ゴホッ、ゴホッ咳払い。
話しをもどしまして、100円レコードといいますと、安いからといって沢山買う方がいますが、これはいけない、わたくしどもはそう思います。なぜなら、100円レコードを10枚買うならばですね、1000円のレコードを一枚買えとわたくしどもはそういいたいのです。やはり、1枚、2枚このあたりが上品です。
つぎに、視聴させてほしいと。これはもう問題外です。100円レコードハントというのは実は自らの音楽知識とその雑多な商品群との戦いなわけです。わたくしどもは、ジャケの雰囲気、ジャケなしの場合は、レーベル、タイトル、年代で買え、それを繰り返すことで、何よりも自分の感性を養えと、そして、自身のフォース(?この人アホかな)に従えと。そんな話しをしております。
しかしながら、検盤はしなくてはなりません。わたくしどもはジャンク屋ではありませんので。安いからと言ってキズがあるのが当たり前という話しではありません。むしろ、ピカ盤狙っていきましょう。但し、検盤に時間をかけてはいけません。サッとみて、サッと買う、これが上品です。
そして、100円レコードの魅力。これを一言でいえば、価値観の転換です。世間、お店が100円という価値をつけたものに自らの再評価において新たなる価値感をもたらす。この発想の逆転です。ここに大いなるロマンをわたくしどもは感じるわけです。
極めつけは、かってアシッド・ジャズ全盛時にロンドンのDJたちの間で噂になっていたというムッシュかまやつの”我が良き友よ”のB面”ゴロワーズを吸ったことがあるかい”でしょう。これなんかはまさにその価値観の転換を表す意味での最高の事例と言えるのではないでしょうか。
で、今回のわたしの100円レコード収穫なんですが、ポール・アンカの”スーパー・ナウ”7インチこれを紹介させて頂きます。これ、わたしジャズな感じか、ジャージーなものを期待して買ったんですけど、そういう趣じゃなかった、で、長い間、寝かせていて、この間、改めて聴いてみたんですけど、これ、実にAOR、しかも極上のAORだと思います。これは当時の洋酒メーカー、ニッカのCMソングとして出されたわけですから、日本独自の企画盤だと思うわけです。世界的にもレア度高いかなと。
それにしてもこのタイトル、スーパー・ナウっていう英語はないと思われるわけです。ムリに訳すと、”チョー今”、ってことになるのかなと。”チョー今”、つまりは、”この瞬間”ってことになりますかね。
それで、わたしが思うには、やはり、ポール・アンカ歌が上手いわけです。一日のビックな、いや我々で言えば、やっかいな仕事が終わって飲む一杯、この瞬間、さりげなくグッとくるサビとともに、その表現力がたまらないわけです。居酒屋じゃなくてバーのその親しみ方を知っている大人。この一瞬のはずのゆっくり流れる時間が、う~ん素晴らしい。
これが、100円で買えるわけですから世の中、まだまだ発想の逆転でまだまだいけそうな気がしてきます。
それではみなさん、何処のレコード店の100円レコードのダンボールの前で再びお会いできるのを楽しみにしております。一緒にしゃがみましょう。(笑)


安い価格だからこそ、その中から何かを選び取る行為って、senriyanさんが仰るように≪自らの音楽知識とその雑多な商品群との戦い≫なんですよね。そして≪それを繰り返すことで、何よりも自分の感性を養え≫・・・いやあ、実にその通りだと僕も思います。普通に考えれば、100円の1枚、2枚で、何を悩んでるの?てなもんでしょうけど(笑)そこが・・・譲れない(笑)
僕もほんの2週間ほど前、将に100円ものの2~3枚を前にして、10分ほど考え・悩み、そしてその内の2枚を落とし、1枚だけ選別してきたばかりです。そのシングル盤は映画音楽のサントラ盤~「ふたりだけの夜明け」(フィリップスSFL-1212)というやつです。まあ強いて言えば・・・ジャケットの雰囲気に惹かれた・・・だけなんですが(笑)選び取る基準はなんでもいいんです、その時に自分が納得できる何かしらの理由さえ見つければ。
そして将にそんなことを繰り返している人間があちらこちらに居る(笑)
「ふたりだけの夜明け」これぼく、レコード、映画の存在すら知らなかったです。ゲンズブールも出ているみたいですね。いやはや、レコードの世界は底なしです。
bassclefさんの以前の記事に、出張先のハワイでレコード買う話しがありますが、これなんかぼくはかなり影響受けてますね。
というのも、今回、百縁良吉さんが、100円レコードを10枚買うなら、1000円のレコードを一枚買えなんて言ってますが、その心に、これ位のお金があればラムゼイ・ルイス買えるじゃないかという思いがあるのです。(笑)
ラムゼイ・ルイスの音楽って本当、悩みのひとかけらも感じられないんですけど、まあ、いろいろあったんだろうなと。
また、あの頃のargo盤ってびっくりするほど良い音のするものがあるんです。
まあ、高価なレア盤だけが良い音楽ということではないようです。
また、コメントお待ちしております!
7インチはもちろんLPも。
中古レコード屋さんだけでなく、フリマやバザーなんかもあなどれません。
冬場は寒いし夏は暑いし、腰やひざにもくるし、あんがい体の負担も大きい世界。
とはいえ未知なる山を見つけると、ワクワクどきどきで胸がいっぱいになります。
そんなワクワクどきどきとも少々ご無沙汰なんですが。
>> 安いからといって沢山買う方がいますが、これはいけない、わたくしどもはそう思います。
自己最高記録として100円の7インチを一度に50数枚買ったことがあります(笑)。
このときは、「安いから」だけでなく、ストーンズを中心としたとてもじゃないが見逃せないラインナップでございました。
すいません。
いや~そんな顔ぶれならぼくも50枚買っちゃいますよ。これは羨ましいです。
ぼくにとって100円コーナーは見る場所が悪いのか、所詮100円は100円。世知辛い現実を突きつけられるだけのラインナップであることが多いです。
で、安いからと、それほど興味あるわけでもないレコードを買って、後でなんでこんなの買ったんだろう・・・と。売るに売れない。あげるしかない。
百縁さんの言葉はそんな反省をふまえての言葉ではないかと。(笑)
300円レコードならまた少し顔ぶれも変わってきますね。
後期のビーチ・ボーイズとかデイビット・サンボーンなんかここで買えました。
あと、100円レコードにはビートルズ関係ものってないような気がします。業界の暗黙の了解?(笑)ぼくだけそう感じるのかな。